2017.09.16
学術専門講座「腰痛の病態と臨床」開催
(公社)大阪府柔道整復師会 河井 好照先生による標記講座が、9月16日(土)午後4時から大阪柔整会館において開催された。
本会の研究事業部員と有志の会員方で行った調査から、腰痛に対して歩容や各テスト法のデータを考察し、腰痛に対しては疾患に関係なく、胸椎11番から仙骨に至るまで観察し、アプローチすることが必要なのではないかと推察した。
脊柱の自由度からストレスのかかる大きな部位は第10胸椎と第11胸椎間、胸腰椎移行部など5つあると考えられる。今回のデータ結果から読み取れる痛みの場所と歩容の関係では、腰部(後)と殿部(後)の関連性が示唆された。
そこで臀部にある仙腸関節に着目して考察を加えた。
・骨盤運動学で仙骨の前屈即ちうなずき運動、後屈即ち起きあがり運動をすることにより、脳脊髄液の還流を促す。
・カパンディの関節生理学から2力のつりあいと仙腸関節の関係。
・仙腸関節の歪みと腰椎の関係については、側屈した方向と逆の方向へ椎体正面が向くようになるカップリング現象。
・仙腸関節障害によって出現する疼痛部位。
・神経支配から診た仙腸関節と痛み。
・仙腸関節障害と腰部神経根障害の鑑別方法。
・肋骨による半固定化された第10胸椎と自由度が起こる第11・12胸椎の関係として、腸骨稜付近の疼痛は腰痛由来と考えていいのか?
・胸神経後枝の関連痛
・痛みを伝える神経と痛みの考え方
などについて紹介・解説し、そこから示唆されたものについて講演した。
最後に明日の施術からすぐに使える仙腸関節に対するアプローチ方法を、検査法と実技を交えて実演すると、80名を超える聴講者は真剣に見入っていた。
大阪府柔道整復師会は業界のパイオニアとして、今後も柔道整復師の学術研鑚を啓発し、更には府民の健康に寄与するよう活動していく。
広報部員 常門 裕明