活動について

2018.08.19

第12回 大阪学術大会 開催

 

平成30年8月19日(日)、シティプラザ大阪2F「旬」の間にて「ここに、未来を拓く礎がある」のテーマで「第12回大阪学術大会」が盛大に開催された。

 

連日続いた災害扱いの酷暑が少し緩んだ気候の中、午前9時からの開会式では多数の来場者を迎え、大阪学術大会 実行副委員長 公益社団法人大阪府柔道整復師会 川口 靖夫 副会長の開会の辞から始まり、冒頭の大会会長、公益社団法人 日本柔道整復師会、工藤 鉄男 会長の挨拶では、養成校の在学生に向け、近年の業界における「倫理」の意識低下に対する懸念に触れ、石川県星稜高校野球部の「心が変われば習慣が変わる。習慣が変われば行動が変わる。行動が変われば人格が変わる。」人格はなかなか変えられないが、心がけ次第で変えることができる。そういった意味も込めて養成学校のカリキュラムを改革し、伝統医療である柔道整復師の継承を再認識し地域医療への貢献を要望した。

府民の皆様には、今後「地域包括ケアシステム」において、地域に密接な柔道整復師を介護事業で活用していただき、住民の皆さんの健康増進に柔道整復師の存在が必要とのことを訴えた。

日本柔道整復師会は、これからも地域の為に未来の為に研鑽を積み、崇高な理念と経験を持って前進していくと述べた。

 

引き続き、実行委員長、公益社団法人 大阪府柔道整復師会 徳山 健司 会長より、今後、医療業界のあらゆるニーズに応えるために医療関連施設の教育改革が始まっている。我々大阪社団もこの改革に真摯に取り組み、柔道整復師が質の向上と倫理観に対応するために療養費の適正化、また学術の研鑽をおこない地域医療に貢献していただきたいと必要性について述べた。

 

日整発表では「柔道整復師と地域包括ケアシステム―2018柔道整復師と介護予防―」と題し、地域包括ケアシステムにおける柔道整復師の認定機能訓練指導員としてできること、事業者として参入していくその必要性と方法について述べた。

在宅介護の始まりは、日常の運動機能が低下することで始まるケースも多く、運動機能低下を予防して寝たきり高齢者を増やさないためにも、柔道整復師の専門性を生かして介入していくことの重要性を強調した。

日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行する中、厚生労働省では、2025年を目途に、その方策に関する最も重要な課題の一つは、国民の介護予防と位置づけ、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとに、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進してきている。

今後、機能訓練指導員の職種が、介護関連職種と連携しつつ地域包括ケアにおける医師を中心とした更なる連携を図り、機能訓練指導員としての役割の確立及びサービスの質の向上に関する調査研究等を行うことにより、高齢者等の自立生活の支援に資することを目的として、『一般社団法人 日本機能訓練指導員協会』を設立することを提起した。

これに伴い、現在の認定を受けている「機能訓練指導員認定柔道整復師」は『認定機能訓練指導員』に名称変更予定することにも触れた。

最後に、柔道整復師の介護予防貢献の意義として①介護予防を行うことで、医療費や介護費用を軽減できれば、国や健保組合に交渉しやすくなる。②介護予防で柔道整復師の存在感を増すことができる。③柔道整復師業務の適正化を図ることができる。④柔道整復師の活動範囲が広まる。⑤介護保険を通して、他の職種との連携が図れる。⑥増加傾向の柔道整復師過剰対策にもなると述べ、締めくくった。

教育講演では、多数の著書の執筆や、先生が治療された患者がテレビ番組で取り上げられ、また、今回の講演の直前には週刊誌からの取材依頼があるなど、数々の場面でご活躍の石川県小松市、加茂整形外科医院ご開業の加茂 淳 先生より「筋骨格系の痛み疾患のモデルチェンジを!」と題し、多くの医師が信じている「損傷モデル」の呪縛から離れ、レントゲンやMRIなどの画像にヘルニアなどの異常所見の有無に関わらない「筋痛症モデル」とは何か?「心理・社会的モデル」とは何か?をご講演頂いた。

その中で、構造の治療と痛みの治療は別の問題とし、検査に対する弊害を指摘の上、CT、MRI、レントゲンの画像から導き出された画像の結果が、必ずしも臨床症状としての痛みとは一致しない。痛みは神経由来ではなく、大半が筋膜性障害から由来するもので、多くの外科的対応が不要なのではないかと述べた。最後に加茂先生ご自身が実践される「ドクダーズルール10」を提示し、医療者としての心構えや患者との関係を説かれ、講演を終了した。

続いて、特別講演では、富山大学大学院 医学薬学研究部 システム情動科学講座 髙本 考一 先生より「柔道整復を科学する」と題し、最新の知見、富山大学がおこなってきた臨床・基礎研究を紹介し、科学的根拠をもとに柔道整復の施術妥当性を検討された。1.接・整骨院に来院する患者の痛みの成因を明らかにする。2.柔道後療法の有効性を明らかにする。3.柔道後療法の鎮痛作用機序を明らかにする。以上について、柔道整復の施術妥当性を証明するための科学的根拠が求めている。特に臨床研究によるエビデンスを集積することが、柔道整復の施術妥当性を証明するために必要不可欠。研究室等の特別な環境だけでなく、臨床で活躍されている柔道整復師の先生方がおこなう研究が必要となると講演いただいた。

はり師、きゅう師の髙本先生は、医学博士を取得しておられ、弊会の研究事業部と合同で研究事業を行ったご縁があり、この研究の結果に関しては、本年11月に愛知県で開催される日本柔道整復接骨医学会の学術大会で共同発表する予定となっている。

以上で午前の部が終了した。

 

午後からは学生ポスター発表が4演題、各々緊張の表情ながらもしっかりとした発表と質疑応答となった。

その後、公益社団法人 大阪府柔道整復師会 研究事業部より「学術事業について」の報告を行った。ここでは学術事業の目的、意義から始まり、具体的な研究内容の概要と事例、医接連携室の案内や公益社団と個人契約者の比較から公益社団の優位性が述べられ、今後の学術事業への協力を要請した。

続いて、柔道整復師による7演題の一般発表が北会場、南会場に分かれて各々行われた。ご発表の先生方が経験した貴重な臨床報告や技法的なことまで幅広い発表で、質疑応答も様々な議論が飛び交い、有意義な時間を過ごした。

 

すべての発表終了後、徳山会長より各先生や養成校の学生に表彰状が手渡され、閉会式では大阪大会 実行副委員長 公益社団法人 大阪府柔道整復師会 増井 英明 副会長が閉会の辞を述べ、終了となった。

今回のテーマは、「ここに、未来を拓く礎がある。」に対して、未来を切り拓くには自分達で努力していかなくてはいけないのではないか?と改めて、認識する機会となった。