ブックタイトル第9回 大阪学術大会論文集 2015
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第9回 大阪学術大会論文集 2015
より良い指導を目指して発信者は適度な運動をするように指示するが、受信者は今一つ納得できていない状態である。これも「誤認」が発生していると言える。このようなときに、受信者が理解できるような例えを使って説明することによって誤認を解消させる。受信者が会社員なら、「会社で例えるならあなたはまだ新入社員です。まずは基礎から始めて少しずつできることを増やしましょう」と伝えることで、誤認の解消を狙う。これが比喩(例え話)である。■ゴールデンサークルゴールデンサークルとはアメリカのコンサルタントのサイモン・シネック氏が提唱した考え方で、情報を伝える順番によって、情報を聞いた人の行動のしやすさは変化するというものである。著書には主にマーケット戦略や社員を鼓舞する方法として書いてあったが、日常生活指導のときにも適用できると思い、臨床で使う内容に変更した。「なぜ」「どのように」「何を」のこのサークルを外から内に進むより、内から外に進む方が、情報を聞いた人が行動しやすい、という考え方である。いる。それに対して、内から外に進む伝え方は散歩を行う理由について詳しく話している。このように、「なぜ」から始めて最後に指導内容を伝えることで受信者の感情に訴えることができ、受信者が行動を起こしやすくなるのである。これが動機不足を解消するゴールデンサークルである。■結語私はこの論文の作成を通して日常生活指導における動機付けの重要性を再確認した。誤認を防いで正しく伝えたとしても、動機付けができていないと患者は行動を起こさない。指導は最終的に行動してもらわないと意味がない。患者は自分の生活のことなので、自分が嫌なことはやらない傾向がある。しかし、自分の「やりたいこと」は周りが止めてもやってしまう。それなら指導内容を患者のやりたいことだと思わせれば良い。思わせる手法、過程は様々なものがあるので、選択肢は多い。これからの時代、患者を診るには手技だけでなく術者の伝える力・動かす力も重要な要素であると思う。■参考文献1)メンタリズムの罠TRICKS of the MIND:ダレン・ブラウン2)マンガでやさしくわかるNLPコミュニケーション:山崎啓支3)認知科学への招待:苫米地英人4)WHYから始めよ!:サイモン・シネック図9まず外から内に進む伝え方である。何を:無理のない散歩程度の運動をしてください。どのように:ウォーキングシューズで平坦な道を歩いてください。なぜ:今のあなたの状態からするとそれが良いからです。次に内から外に進む伝え方である。なぜ:受信者の日常生活の質を上げたいので。どのように:体力をつけることで実現を目指しましょう。何を:そのためにまず無理のない散歩程度の運動をしてください。人間は感情で行動を決める。外から内に進む伝え方は散歩について詳しく話して■プロフィール高校卒業後、東洋医療専門学校で勉強し、2013年柔道整復師免許取得。その後、笠井整骨院に勤め臨床経験を積む中で患者と術者のコミュニケーションの重要性を感じ、本論文を作成する。09