ブックタイトル第9回 大阪学術大会論文集 2015

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概要

第9回 大阪学術大会論文集 2015

マレットフィンガーⅠ型(腱断裂)の固定法の考察~伸縮テープのみによる動的安定を追究した固定~河井好照西成支部■キーワード動的安定、テーピング、綿花圧による応力、レオロジー特性、指の屈曲■目的マレットフィンガーⅠ型(腱断裂)は、臨床上においては保存的にも観血的にも完治する例と完治しない例が混在し、後遺症のことを鑑みて私たちが不安要素を抱えた状態で取り組まなければならない症例ではないかと思われる。また成書や参考文献からも固定期間がⅡ型・Ⅲ型に比べ遥かに長く、文献によっては6~10週間と様々である。さらにDIP関節を伸展位に固定する目的は、総指伸筋腱や虫様筋腱の収縮および伸張を避け自然癒合を期待することにある。しかし疼痛が軽度であるため、勝手に本人が固定を除去することでマレットフィンガーを形成したり、長期間の固定によりDIP関節に拘縮が生じたりするケースも稀ではない。今回、伸縮性のテープを使用し軽装で動かすことが可能なテーピング固定法を考案し、約16日間で腱の癒合が得られた症例を発表する。この固定法は伸縮テープの貼付方法の工夫と綿花圧によるレオロジー特性を利用し、指の屈曲動作時に腱が末梢に伸張する応力を発生させることを目的とした。考案したこの固定法の目的は、腱の安静によって自然癒合を期待した従来の静的固定法ではなく、固定した指を動かすことにより腱を伸張させて断端を近づけることを主眼においた、動的安定を目的とした能動的な固定法である。■経過2月15日受傷2月25日施術開始(テーピングと綿花にて、動的に固定する)3月12日末節部に抵抗を加え伸展させ、抵抗可能であったことから断裂腱の癒合を認める。しかし癒合部の膨隆が残存していることから、テーピングと綿花による固定は続行する。3月31日綿花圧による固定のみ施行し、癒合部の強化を図る。4月7日完治初診時外観像図1初診時外観像■症例報告性別生年月日職業受傷日初診日原因男昭和62年1月13日キックボクサー平成27年2月15日平成27年2月25日キックボクシングの練習中、グローブを装着していない状態で相手のキックを受けた際に受傷する。図210