ブックタイトル第9回 大阪学術大会論文集 2015

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概要

第9回 大阪学術大会論文集 2015

整骨院領域の補助テーピング法~運動器疾患に対してのキネシオテーピング~近森西支部/近森整骨院・鍼灸院/関西健康科学専門学校非常勤講師清■キーワード運動器疾患、手技療法、スクリーニングテスト、コレクションテーピング■目的キネシオテーピング法は、専用の粘着性伸縮包帯(キネシオテックス)を皮膚に直接貼ることにより、(1)筋肉の機能を正しくもどす(2)血液・リンパの流れを良くする(3)痛みを抑える(4)関節のズレを正すなどの効果があり、キネシオロジー(運動機能治療学)の理論が根拠になっている1)5)。関節の痛みは、骨そのものの異常によるものより、その関節を動かす筋肉、そしてそれらを包む筋膜・皮膚にある。筋肉の異常を正常にするためキネシオテープ(以下KT)を使う。当院は1983年に開業したが、開業時から施術に補助テーピング法としてKTを継続して使用している。KT法は絶えず進化を続けてきた。その進化は理論的な貼り方だけでなく、実用的な貼り方も追加されている。軟部組織損傷部位に正確かつ効果的に貼るために、テ1スト法(評価)とテーピングテクニックの選定)など、14症例をあげて、それに対してどのテーピングを施術に使用したのかを一覧にした。テーピング貼付の写真撮影をして軟部組織損傷の10分類にどのように使われているかを調査する。■方法2014年10月から2015年2月までに、1.左肩関節損傷2.頚部・右肩関節損傷3.腰部痛・背部痛・大腿後面痛4.左鵞足炎5.左胸部打撲・左大腿部打撲・左股関節捻挫6.頚部損傷・右肩関節損傷・背部損傷7.左第1指部損傷・手関節筋・前腕屈筋損傷8.右下腿部挫傷(肉ばなれ)9.右橈骨遠位端骨折・右肘頭骨折・橈骨頭骨折10.右手指PIP関節損傷11.右膝蓋骨打撲12.左足関節捻挫13.左膝関節捻挫14.右顎関節脱臼の疾病で来院した14名の患者に対し、柔道整復師の施術、特に後療法(手技療法、物理療法(電療)など)の後に、補助テーピングとしてKTをした。KTを貼る前には評価(診たて)が必要で、評価法とテーピング施術の手順は、下記のように行う。(1)3診(問診・視診・触診)(2)整形外科テスト、関節可動域テスト、スクリーニングテスト(3)筋肉テスト(1回目)→原因筋を特定→KT4)(4)筋肉テスト(2回目)→施術効果の確認どこからテーピングしてよいかわからないときには、スクリーニングテスト(8種類)を行う。これはKT法独特のテスト法である。はじめから直接の原因がわかっているものはこの手順をとらなかった。KTのテーピングのテクニックの種類は基本的なテーピングとして「筋肉テーピングテクニック」を主に使う。皮膚や筋膜、腱などの軟部組織のねじれや歪みを調整するために、テープに一定の張力をかけて貼る「コレクションテーピング」6種類、そして靱帯や関節に貼り、筋肉テーピングと併用する「特殊テーピング」を症状に合わせて使った。テープの形状の選択は、急性の炎症物質を除去し痛みを緩和させる「I字」、弱った筋肉への刺激を減少させる「Y字」、関節を挟んで二つの筋に貼る「X字」、リンパドレナージ、リンパ液、滲出液、浮腫の除去効果の強い「熊手状」「スリット型」を用いた。テーピングを貼るときの方向は目的によって筋の停止部から起始部に貼ったり、起始部から停止部に貼ったりした1)4)。KTをはじめて貼る患者には、まず説明をした。テーピングの目的(疼痛緩和、循環改善、可動域拡大など)、貼付後のケア(剥がし方、入浴・シャワー時の注意)等である。またKTは保険外施術にあたるので、材料代(セパレーターの5cm印刷の使用コマ数×単価)を保険外料金として支払ってもらった。これはテーピングするたびに使用量によって変化する。32