ブックタイトル第9回 大阪学術大会論文集 2015
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第9回 大阪学術大会論文集 2015
肩関節障害に対する鎖骨へのアプローチ■結果3症例とも鎖骨へのアプローチを行った結果、肩関節周囲に出ていた疼痛の改善・屈曲・外転・外旋といった可動域の改善が現れた。また、施術後、「呼吸しやすいです」「しびれが取れました」「なんかスッキリしました」などの感想を受けた。原著第2版4)坂井建雄、松村讓兒プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系■考察長軸方向への施術を行うことにより、肩鎖・胸鎖関節が安定し上肢の重みを体幹に伝えることができるようになったと思われる。ワイヤー機能・ショックアブソーバー・ダンパー機能の回復が起きたと思われる。鎖骨は上肢(4kg)を体幹に繋ぎとめる働きをし、腕や肩と胸郭の動きを連結して助ける大事な役割を担っている。肩複合体では単一の筋が個別に働くことはまれである。「チーム」として働く筋は多くの関節にまたがって協調して作用する3)。胸鎖関節・肩鎖関節の安定性を高めることは筋の協調性を高める効果があると思われる。また、上肢において鎖骨は胎児期の発生で軟骨を形成しない唯一の骨であり、結合組織より直接骨化する(膜4性骨化))ため、長軸伸張を行うことは骨の理にかなう方法であると思われる。鎖骨浮上については、近年はデスクワークの普及により上肢の内旋動作が強制され、鎖骨の逃げ場がなくなり浮上型を呈することが多くなったことが原因のように思われる。患者が実感した呼吸やしびれの改善については、施術によって上肢の筋膜のテンションが低下し、可動域が改善したことにより、胸郭が広がり、呼吸・循環の改善につながったのではないかと思われる。(呼吸補助筋)■今後臨床では鎖骨に対する施術方法は圧迫固定(静的安定)が主であった。従来の方法だけでなく、鎖骨を長軸方向に伸張する施術を行うことにより短時間で鎖骨の機能が改善し、疼痛の軽減、上肢の動作改善などの効果が期待できる。(動的安定)治療効果を持続させるための動的安定を考えたテーピング方法も思案していきたい。■参考文献1)ジャン=ピエール・バラル、アラン・クロワビエ新マニピュレーションアプローチ≪上肢≫2)佐志隆士、井樋栄二、秋田恵一:肩関節のMRI撮影ポイントのすべて改訂第2版3)Donald A Neumann筋骨格系のキネシオロジー43