ブックタイトル第9回 大阪学術大会論文集 2015

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第9回 大阪学術大会論文集 2015

介護予防体操教室におけるトレーニング器具利用の有効性について橋本貫次郎大阪府柔道整復師会専門学校附属オージェイ整骨院■キーワードバランスボール、体幹トレーニング、ノッテフィット制限され体幹の筋活動を向上させるには少し物足りない。■はじめに介護予防、とくに二次予防事業が実施されて以来10年が過ぎようとしている中で、公益社団法人大阪府柔道整復師会がこの二次予防事業の「運動器機能向上事業」に進出して以来、多くの会員諸兄が本事業に参画し、各々が英知を絞って独自のプログラムを作成し、色々な取り組みが試されている。近年、高齢者の体操教室でも、体幹トレーニングに重点を置き、様々なツールを利用してその体幹力を向上させようと考えられ、当院でも平成21年より、二次予防体操教室を行っており、これまで数多くのプログラムを取り入れてきた。ダンベル・チューブトレーニング・エアロビクスダンス(ローインパクト)・様々なウォーキング方法・ボール体操・ストレッチポール・ひめトレポール・バランスボール・チェアエクササイズ等々、数えればきりがない。しかし、我々運動器機能向上事業に従事する者にとって、一番重要なことは「転倒防止」であり、そのために必要なのは、下肢筋力の強化と、それに伴う歩行能力の向上であると思われる。だが、下肢筋力の強化も歩行能力の向上もその根底で支えているのは、体幹の筋肉群である。この体幹を構成する筋肉は、動いているときの動作だけでなく、「立つ」・「座る」・「歩く」といった人間が姿勢を保持する上でとても重要な働きを担っている。そして、脊柱の周りにある筋肉をしっかりと鍛えて固めることで、脊柱が安定し正しい姿勢を保持することができ、転びそうになったときにしっかり踏ん張って身体を安定させる力が発揮される。では、体幹を強化するための運動を行うにはどのようにするのか、またどのような器具を使えば一番効率よく鍛えることができるかを考えた場合、まず立位で行うのが一番効果的である。しかし、高齢者の場合、長時間立位でトレーニングを行うのはとても困難であり、どうしても座位で運動することが多くなる。ではそのとき、椅子(図1)が良いのか、またバランスボールが良いのか、その選択肢は多様なものになると思われる。椅子で行う場合は、支持基底が安定し座面反力が得られ易いという利点はあるのだが、動き自体が制約・図1図2図3また、バランスボール(図2)で行うとしたら、バランス感覚や姿勢を維持させるための体幹の筋活動を向上させるにはとても効果的ではあるが、支持基底が極端に狭く、不安定で転倒の危険性は椅子の比ではないと思われる。しかし、このバランスボールは体幹力をアップさせるには一番効率の良いツールであるといえる。フィットネスの世界で多くの人が体験したと思われる、このバランスボールは、1970年代にスイス人の医師とイタリアの玩具製造会社の共同開発で作られ、当初小児向けのリハビリテーション用に利用され、その後大人向けに耐久性のあるバランスボールが開発されて現在に至っている。そしてリハビリ用に開発されたバランスボールは、フィットネス用品として扱われるようになった。しかしバランスボール自体に大きな変化はなく、転がって転倒する危険性のある点や、デザインが生活にそぐわない点(転がるので保管しにくい)など多くの課題を残したまま現在に至っているのは確かである。そこで今回、支持基底は椅子ほど安定していないが、バランスボールよりは不安定でない「ノッテフィット」(図3)という新感覚のフィットネスチェア(ミズノ株式会社44